いびき・睡眠時無呼吸症候群
について
寝ている時に大きないびきをかいている、呼吸が止まっていることがあると誰かから指摘された経験はありますか？寝ている時、呼吸が10秒以上止まる無呼吸状態や、呼吸が弱くなる低呼吸状態を何度も繰り返す病気のことを、睡眠時無呼吸症（Sleep Apnea Syndrome/SAS）といいます。
命に関わるいびきも存在します
このような症状がある方は要注意です。
- 睡眠時に呼吸が止まる
- 何度も夜中に目が覚める
- 日中も眠たくて仕方がない
- いびきが大きくてうるさいと言われた
- 熟睡した感じがない
睡眠時無呼吸症候群の
原因・症状
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸の多くは「閉塞型睡眠時無呼吸症（OSAS）」と呼ばれるタイプで、空気の通り道である上気道がふさがってしまうことで起こります。
気道がふさがる原因は、
- 舌が喉の奥に落ち込む
- 首まわりに脂肪がついている
- アデノイドや扁桃の肥大
- 鼻中隔弯曲
（鼻の中が曲がっている状態） - 舌が大きい（巨舌症）
などが挙げられます。
欧米では肥満が主な原因となることが多いのに対し、日本人の場合はあごが小さい（小顎症）ために気道が狭くなり、痩せていても睡眠時無呼吸症候群を発症することがあります。
一方、脳からの呼吸の指令がうまく伝わらないことが原因で起こるタイプは「中枢型睡眠時無呼吸症」と呼ばれますが、実際には患者様の9割以上が「閉塞型」です。
なお、歯科で用いる「スリープスプリント（マウスピース）」が効果を発揮するのは、閉塞型睡眠時無呼吸症の方のみです。
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群の症状には主に以下のようなものがあります。
- 寝ている時に呼吸が止まる
- 何度も夜中に目が覚めてしまい、
熟睡した感じがない
- いびきが大きい
- 日中の強い眠気、集中力の低下
睡眠中に十分な呼吸ができず、酸素が不足すると、「息苦しい」「寝苦しい」といった症状が現れ、睡眠不足の原因となります。
さらに酸素不足は循環器に負担をかけるため、「心不全」・「不整脈」・「高血圧」・「糖尿病」などのリスクを高めるほか、突然死や事故のリスクも増加します。
実際に、睡眠時無呼吸症候群が原因で起きる、居眠り運転による事故も社会問題となっています。
上記のような症状がある場合は、早めに専門医を受診することが重要です。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
内科的療法（CPAP療法）
内科的療法(CPAP療法)とは、鼻から気道へ空気を送り込む治療法です。鼻にマスクを装着し圧力を加えた空気を送り込むことで、舌根周囲の軟部組織を広げ、呼吸時に気道が狭くなってしまうのを防止します。マウスピースを使うことができない方や、重度の無呼吸がみられる場合この方法で治療を行います。
耳鼻科的療法
鼻の通りを良くする点鼻薬や軟膏などを組み合わせた保存的治療や、咽頭や鼻の外科的治療を行い、上気道の通りを良くします。
スリープスプリント療法
当院では、睡眠時無呼吸症候群の治療に「スリープスプリント」と呼ばれるマウスピースを使用した治療をご提案しています。
この装置は、下あごを少し前に出した状態で固定することで、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、気道を広げる働きがあります。
スリープスプリント療法は、体への負担が少なく、導入しやすい治療法です。主に軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群やいびきの改善に効果が期待できます。
通常の歯ぎしり治療で使用されるマウスピースとは異なり、上下の歯を固定することで気道の確保を助けます。
肥満が原因で引き起こされる「圧迫」・「閉塞」・「顎や舌が気道方向に落ち込む」のを予防できるだけでなく、顎が小さく細いことが原因になっている場合にも高い効果を発揮します。
初回の検査で歯や歯ぐきの状態に問題がなければ、患者様一人ひとりのお口に合わせたマウスピースを製作します。
なお、医科で検査・診断を受け、「スリープスプリントが適応」と記載された紹介状（情報提供書）をお持ちいただいた場合に、保険診療が適用されます。
スリープスプリントの
メリット
- CPAP療法や外科療法と比較すると負担が少ない
- 装着するだけで呼吸が改善され、いびきが軽減するなどすぐに効果が現れることが期待できる
- 旅行や出張などにも簡単に持ち運びできる
以下のような症状がある方は、スリープスプリントがご使用いただけないことがあります。
- 重度の無呼吸がある場合や、重度の肥満症
- 著しい鼻中隔弯曲や咽頭肥大が見られる場合や、鼻の通りが悪い場合
- 重度のむし歯や歯周病、強い顎関節症がある場合
- 上下の歯の本数が少なく、入れ歯を使っていない