歯の神経を治療する「根管治療」について
このような症状はありませんか？
- ズキズキと拍動性の痛み
- 熱いもの･冷たいものや噛んだ時に強く痛む
- 歯ぐきの腫れ、押すと痛みが出る
- 歯ぐきから膿が出る
むし歯が進行して神経まで感染してしまった場合、歯の中の神経を取り除き、根の部分（根管）をきれいに洗浄・消毒して薬を詰める治療を行います。この治療を「根管治療」といいます。根管治療は、歯を残すためにとても大切な処置で、抜歯を避けるための最後の手段といわれています。患者様には見えにくい部分の処置ですが、歯の寿命を延ばすために欠かせない重要な治療です。
根管治療の重要性
歯科治療において非常に重要な治療が、根管治療です。
どんなにきれいな歯を入れたとしても、歯の根の治療（根管治療）が適切に行われなければ、後に根の先に膿が溜まったり、周囲が炎症を起こしたりし、再治療が必要になることがあります。
最悪の場合、抜歯しなければいけないケースもあります。
そのようなトラブルを防ぐためにも、根管治療では細部まで丁寧に処置を行い、再発を防ぐことが大切です。
拡大鏡・歯科用CTを用いた精密な治療
拡大鏡を使った根管治療
根管（歯の根の中）は直径1mmにも満たないほど細く、内部は複雑に枝分かれしています。
そのため、肉眼だけでは見えにくい部分が多く、正確な処置が難しい部位です。
当院では、治療部位を数倍に拡大し、明るく照らしながら確認できる「拡大鏡」を使用した根管治療を行っています。
細部までしっかりと視認できることで、感染部分を確実に除去し、根管内を清潔な状態に整えることが可能です。
また、わずかな残存物や形状の違いも見逃さず、根の構造に合わせた丁寧な処置を行うことで、根管内の再感染や再治療のリスクを抑えます。
レントゲンでは見えない部分を可視化する「歯科用CT」を用いた精密検査
歯の根の形は人によって異なり、曲がっていたり、複数の根が重なっていたり、分岐しているなど非常に複雑です。
そのため、平面的なレントゲンだけでは、根の先や周囲の状態を十分に把握できないことがあります。
当院では、歯や骨、神経の位置関係を立体的に映し出せる「歯科用CT」を活用し、より正確な診断を行っています。
根尖（根の先）の病変や神経の走行まで詳しく確認することで、治療の精度を高め、再発のリスクを最小限に抑えます。
見えない部分まで丁寧に確認しながら、安心して治療を受けていただけるよう努めています。
当院の根管治療の流れ
step1診査・診断
まずは、歯や根の状態を正確に把握するための診査・診断を行います。
根管治療では、歯の内部構造や炎症の範囲をしっかり確認することが何よりも大切です。
当院では、レントゲンに加えて歯科用CTを使用し、歯や骨、神経の位置関係を立体的に確認します。
CT画像では歯を細かく断面で見ることができるため、肉眼では見えない根の形状や病変の広がりまで正確に診断できます。
精密検査で取得したデータをもとに、最適な治療計画を立てていきます。
step2汚染物質の除去
拡大鏡を使用して、根管内を確認しながら感染した歯質や汚染物質を丁寧に取り除きます。
細く複雑に入り組んだ根管を正確に処置するため、専用の器具（ファイル）を用い、慎重に内部を整えます。
step3根管内の洗浄・消毒
感染源を取り除いたあとは、根管内を薬液でしっかり洗浄・消毒します。
細菌が残らないよう、必要に応じて超音波器具を併用し、奥まで洗い流します。
複数回にわたり洗浄を行うことで、根管内を無菌状態に近づけ、再感染のリスクを最小限に抑えます。
step4根管充填
洗浄・消毒を終えた清潔な根管内に、すき間ができないよう薬剤をしっかりと詰めて密閉します。
再び細菌が侵入するのを防ぎ、内部を安定させるための大切な工程です。
step5土台と被せ物の装着
内部の治療を終えた後は、歯の強度を高めるために土台（コア）を立て、その上から被せ物を装着します。
機能面だけでなく見た目の美しさにも配慮し、自然で快適な噛み心地を取り戻します。
step6メインテナンス・定期検診
根管治療が完了した後も、定期的なメインテナンスを続けることが大切です。
治療によって炎症や痛みが落ち着いても、時間の経過とともに細菌が入り込むことがあります。
当院では、治療した歯の状態を確認し、歯ぐきやかみ合わせの変化も早期に発見できるようサポートしています。
治療後も長く健康な状態を保てるよう、お口全体のバランスを見ながら丁寧なメインテナンスを行っています。
根管治療でのお願い
根管治療は、高い精度が求められる治療のため、1回で完了することはほとんどなく、数回に分けて丁寧に治療を行う必要があります。そのため患者様には何度も歯科医院に足を運んでいただかなければなりません。患者様の中には、途中で通院をやめてしまい、治療を中断される方もいます。
根管治療の途中で放置すると、炎症や激しい痛みを引き起こすなどし、再治療をしなければなりません。また、それによって本来失わずに済んだはずの歯まで失ってしまうということもあります。更に、再治療は初回の治療よりも長引いたり、口にダメージを与えてしまったり、治療の成功率が著しく低下してしまうこともあります。
大切な歯を守るためにも、根気強く最後までしっかりと治療を完了させましょう。